水槽のヒーターは何ワットが必要か
必要な出力は水量では決まりません。ガラス面と水面から熱がどれだけ逃げるかで決まります。 そのためフタの有無で必要な容量は倍近く変わります。電気代と、停電したときに水温が下がる速さもあわせて計算します。
必要な出力は、水量ではなく熱の逃げ方で決まる
「1リットルあたり何ワット」という目安をよく見かけますが、これは正確ではありません。水槽から熱が逃げるのは表面からであって、内部の水量からではないからです。
同じ100リットルでも、平たく広い水槽と、背の高い水槽では必要な出力が変わります。水面が広いほど蒸発で熱が逃げるためです。水量あたりで考えると、小型水槽ほど表面積の割合が大きくなるので、必要なワット数は水量に比例せず、小さい水槽ほど1リットルあたりの負担が重くなります。
フタの有無で倍近く変わる理由
熱の逃げ道はガラス面からの伝導と、水面からの蒸発の2つです。このうち蒸発が支配的で、水が気体になるときに大量の熱を奪います。
そのためフタをするかどうかが、断熱材を貼るよりもはるかに大きな効果を持ちます。冬にヒーターが効かないという相談の多くは、容量不足ではなく開放水面が原因です。上の計算でフタの有無を切り替えると、必要な容量と電気代の両方が動くのが確認できます。
開放水槽でレイアウトを楽しみたい場合は、容量を上げるか、水位を下げて水面を狭くする、置き場所の室温を上げる、といった対処になります。
電気代の計算で多くのサイトが間違えていること
ヒーターの電気代を「定格ワット数 × 24時間 × 日数」で計算している例をよく見ますが、これは実態と大きくずれます。
ヒーターはサーモスタットで断続運転します。設定温度に達すれば止まり、下がれば入る。つまり常時フル稼働しているわけではありません。平均の消費電力は、定格ではなく水槽から熱が逃げていく量に一致します。熱が逃げた分だけ入れ直す、という釣り合いになるからです。
したがって150Wのヒーターを使っていても、熱損失が92Wなら平均消費電力は92Wです。この考え方には副次的な結論があります。容量の大きいヒーターに変えても電気代はほとんど変わりません。変わるのは、設定温度に到達するまでの速さと、温度のふらつき方です。
電気代を下げたいなら、容量を小さくするのではなく、フタをする、設定温度を下げる、室温を上げる、水位を下げる、といった熱損失そのものを減らす対処が効きます。
停電したとき、水温はどれくらいで下がるか
水は比熱が大きく、温まりにくく冷めにくい物質です。そのため停電やヒーターの故障が起きても、水温はすぐには下がりません。上の計算では、水の比熱から1℃下がるまでのおおよその時間を出しています。
水量が多いほど下がりにくく、大型水槽ほど猶予があります。逆に小型水槽は水量が少ないぶん、水温の変化が速く進みます。
実際には水温が下がるにつれて室温との差が縮まるため、熱の逃げる速さも落ちていきます。表示している時間は最初の1℃についての目安で、時間が経つほど低下は緩やかになります。
この計算の根拠
ガラス面と水面それぞれの熱の逃げやすさを分けて計算し、連続運転で必要な出力を求めています。そこに5割の余裕を足したうえで、市販されている容量へ切り上げています。断続運転する以上、この余裕がないと冷え込んだ日に設定温度まで到達しません。
熱の逃げやすさを表す係数は設置環境によって幅があります。窓際や、暖房の効かない部屋では、計算より不利になります。最低室温は暖房を切った明け方の値を入れてください。日中の室温で計算すると容量が不足します。
サイズ別の実水量
ヒーターの計算に使う実水量は、水槽の表記容量とは異なります。各サイズの詳しい内訳は個別のページにまとめてあります。